霊感の全く無い俺が幽霊を見た方法を話す


今回話す話はガチです。

私は春先に真冬用のニットを平気で着てしまうような季節感の無い男です、そんな人間ですから当然のように自分には霊感と呼ばれるものも皆無だと信じて生きてきました。まあ要するにセンシティブな人間では無いと、そういった所です。

そんな男が過去に一度だけ見た強烈な幽霊体験を話したいと思います。

ある夜の話


今からだいぶん前の話になります、ちょうど10年くらい前でしょうか、季節はうららかな春を抜け夏の兆しが見え始める5月頃だったと記憶しています。

私はあるバイトに参加していました、それは交通量調査です、座ってるだけでお金が貰える楽なバイトの代表格。

どうせ稼ぐなら纏まった金額が欲しいので24時間調査と呼ばれるものに参加しました。

24時間ってキツすぎじゃね、って交通量調査の仕事を知らない人は思うかも知れませんが
1調査地点につき2~3人の班を組んで1人2時間程カウントして1時間休憩のようなローテーションを組むので、そんなにキツイ仕事ではないんです。

睡眠を取れるようなまとまった休憩がないのはキツイっちゃキツイですが当時まだ若かった事もあり、1日くらいの事だし気持ち的には全然平気なのでした。


私達の班が担当する場所は姫路の山奥、生い茂った森を切り開いた道路に面したカーブに調査ポイントがありました、そこからハイウェイを走る車の種別や台数をカウントするといった仕事内容でした。写真はイメージですが当時の記憶に近い風景かと思います。

調査地点からすぐの所には古びた嫌な感じのする小さなトンネルがありました。
単純に古くてカビ臭い感じが不気味ってだけの連想なんですがw

朝から始まった仕事、翌朝までの24時間が仕事です。
まだ始まったばっかりですから皆、余裕があります、冗談を言い合ったり和気藹々とした感じで時間が過ぎていきました。

しかし一筋縄でいかないのが自然。夕方には段々と空に真っ黒の雲が広がり始め一気に天候が崩れ雷が鳴り響き、大雨が、私達の体を打ちました。

この調査バイトの一番辛い所は基本的には何があっても(天候の変化くらいでは)持ち場を離れる事は許されません、傘を差すのも視界不良でデータ取りに影響するのでレインコートのみ持ち込み可能となっています。

山の天気は変わりやすい、そんな基本も忘れていた私は防寒具をほとんど意味を成さない軽装なものに雨除けには簡単なレインコートしか持ってきていませんでした。

体温がどんどん下がるのを実感しました、椅子に座り続ける事しか出来ず手をさすって、ごまかし程度の暖を取るくらいしか、その時、私に出来る事はありませんでした。

震える事、数時間(人生の中で西野カナよりダントツ俺のが震えてます。)

いつしか日は暮れあたりは真っ暗です、雨も雷も去りましたが5月とは思えない寒さを残していきました。

私がいた場所は標高の関係もあり5度くらいの体感温度であったと記憶しています、とにかく寒かった、その日、人生で一番寒い思いをしたような気がします。

山奥での時間は淡々と過ぎていきました、晩御飯休憩をして、もう時計は深夜12時を跨ごうとしています、あと数時間の辛抱だなと、車の往来も疎らになった頃には気力も少し戻ってきたような気がしていました。

突如、訪れた魔の時間・・・


深夜3,4時くらいでしょうか、交通量もほぼゼロになりました、1時間で1台、車が通るから通らないか。

班の人たちも、この時間になると流石にくたびれて、少し離れた所にある休憩地にいったようでした、私は観測地点に1人でした。

私は真っ暗になった山奥で、寒すぎて居眠りをする余裕も無く、ただボーっと目の前に生い茂る木々の群れを見ていました。

その時です。真っ暗の木々の中に赤や黄色に紅葉した葉っぱを見つけました、その色の鮮やかさは、この暗闇の中で何故これほど感じる事が出来るのか不思議でしょうがなかったのですが、初めて見る光景に驚きと理解が出来ないまま、もっと辺りを見回してみました。

すると目の前にあるあらゆる木が仏像や不動明王の像になっているのです、それも金色や赤色のこの闇の中で発色するはずも無い色を放っています。


少し笑いそうになったのは、その仏像の横にネバーエンディングストーリーのファルコンがいた事です、この世界観の節操の無さに今でも思い出すと笑えます。

不思議とその時は怖いと一切感じませんでした、その時は・・・

普段見えるはずのないものが一段と見え出しイヨイヨ、あぁこれはなんかヤバイ雰囲気だなと視界を少し明るい、丘のようになってる所に移しました、すると明らかに女が数体立っているのです、それはポリゴン(それもかなり初期の)で描かれたデジタル的なモノに見えました。

イメージでいうと
まさにこれがドンピシャ、あぶらとり紙の絵のような顔をした女が立って、こっちを見ているのです。さらに不気味なのは彼女達、体はあるんですが、顔を腕の脇に抱えて顔をクルクルと回しています、服は着物を着ていました。

いよいよ幽霊を見てしまった、しかも向こうもこっちを見ている。

本格的に怖くなってきました、でももっと怖いのはさっきから背後に女の気配スゲーがすんだよね。なんとなくなんですが私の後ろにいるのは男でもファルコンでも無く漠然と女がいるのはハッキリと直感でわかりました。

私は大きな木の前ギリギリに椅子を設置していましたから、木と私の間に何かが入る隙間なんてありません、でも絶対何かがいる、けど怖すぎて振り向けない、でも見たいィ!!!

意を決して振り返ってみました、あ、木!!ただの木!!なんもねぇ。

と、安心した瞬間・・・

木の上、私の真上からまるでフラフープや巨大虫取り網で生暖かい何かが私をフワッと包み込んで足元に抜けていきました。

流石に私は腰が抜けました・・・まさか上から来るとはw怖すぎて心臓バクバクでした。

長い夜がだんだんと東の方から明けてくるのがわかりました、この時程、朝日の訪れに安心した事はなかったのでした。

幽霊からのコンタクト体験は以上になります。

明るくなってきてからは俄然、気が大きくなったのか人生で初めての幽霊体験に恐怖とある意味の感動を覚えていたため記念写真を撮りたくなりました。

今回の経験の原因になった場所はなんとなくわかっていました、たぶんトンネルだ、トンネルで何かあったのだ、その時は本当にそう思ったのです。

ですからトンネル前の写真をパシャリと撮りました。


当然、心霊写真でした。

当時の写真とは違いますがこんな感じで女の顔が映っていました、もっと冷たい目をした美人でしたが。絵心が無くてすいませんw

何故、写真を撮ったかというと土産話に何かを持って帰りたかったんですね。
心霊写真撮っちゃったよーん、って誰かに自慢したかったんです。

でもね・・・あとで見返したら消えてるんです、あんなにハッキリ、瞳の虹彩まで写りこんでいたのに。

以上が私の人生初の幽霊体験談でした。

今回の経験で得た幽霊と会うための簡単な方法をお教えします


幽霊を見るためにやるべき事

体を極限に冷やす

睡眠不足が望ましい

ずっと同じ所にいることが望ましい

空腹状態であること

神々の山嶺という漫画をご存知でしょうか、登山を描いたとってもシリアスかつドキュメンタルな漫画なんですが雪山での幻覚幻聴体験の描写があります。是非読んでみて下さい。

体と精神を追い込むと幽霊(幻覚?)が見えます、是非、皆様チャレンジしてみて下さい。それでは!!


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